カルネアデスの庵

健全な好青年の

10/15

風邪をひいた。

家に体温計は無いので推測の域を出ないのだが、恐らく高熱である。資格試験前だというのに、愛想の無い身体だと呆れる。

家事をしようにも、体が言うことを聞かず、

だからといってゆったりしているかと言われれば、

気分も深く澱んでいる。

 

後輩が車を買った。

恐る恐る運転に同乗したが、やや危なっかしい気を感じたものの、壊滅的という感想は得ていない。

やがては通常の、なんの面白みも無い運転手になるだろう。

 

二人で話しているうち、私は気付いた。

やはり、私の脳はこの時間が何よりも程度の低い、単調な、そして不要な時間であると判断している。

勉強、と銘打っては居るものの不快だと心底感じた。

 

他者と接するメリットは薄い。

我を隠さず、思うがまま振る舞う。

それが可能な相手との対話こそが、不快でない良質な唯一の娯楽であり、私にとってのよすがだった。

私は機会に恵まれたが、それを悉く廃棄した。

 

 

レイが餌に食いつかなくなった。

ハンドリングをした後はどうにも食事を拒否する傾向にある。シェルターに戻してやり、暫く餌を構えていると漸く食べた。

観察して分かったが、恐らくレイはオスのヒョウモントカゲモドキだ。

素人目の判断、正確では無いにしろ、一旦は『彼』と呼称しようと思う。

 

同居人の素性が、また少し割れた。

どうにも笑えないのは、気のせいなのだろうか。