10/10
親戚が亡くなった。
あまり話したことはなかったが、小さいころどことなく優しくして貰ったのを覚えている。
だからといって特に思い入れは無く、通夜の時もも仕事を優先した。故に今日、久しくして訪問する事となった。
車で40分程度の道を通って行った。
道中、何も考えていなかった。
夕食を共にし、腹を満たして帰った。
遺影にはどことなく昔見た面影もあった。
特に何の感情も持てなかった。
家に戻ると、レイに餌をやる。
今日は何故か怯えているようで、あまり餌に食いつかなかった。
なんとかフード2粒を食べてもらい、水換と掃除を済ませて、程なくして眠った。
生活リズムが乱れている。
まだきっと、私は自暴自棄なままなのだ。
こうして文字にする事で振り返り、正さないとより歪んでいく。
例え無駄なあがきだとしても、私は私を正しい姿に導いてやらないといけない。
例えあいつが戻る事が無いとしても、だ。
10/8
季節の変わり目、私はずっと風邪をひいていた。
人生の大きな起点でもあった夏は終わり、彼女には振られ私の春も終わった。
私にはやはり人と接するのは向いていない、と再確認したし、自暴自棄になるのももう飽きた。
私を捨てた元彼女の事は今でも憎いが、同じくらいにまだ好きなままでいる。だからといって惨めにすがるでもなく、思い出も心の片隅に安置しようと思う。
元々はあいつに影響されて初めたブログ、結局面倒で放置していた。
もうアイツもやっていないようなので、見ている人は誰も居ないだろう。そう高を括っている。
見た所で君も気持ちが悪いだけだろうし、万が一見ているようならここで引き返してくれ。
これ以上自分を苦しめるのはやめるため、もう恋愛はしないと決めた。振られて以来、幾つか変わった点がある。
家にいる限り笑わなくなった。
職場では相変わらず弄り弄られのピエロを気取っている。上司の前では話したくないから大人しいのは変わらないが。
休日が、ただの『仕事の無い日 』になった。
眠気の続く限り眠り、起きて街を散歩し、疲れれば眠る。これの繰り返し。
友人と話しても楽しいと思えない、会うのも時間の無駄だとしか思えない。
他人の幸せを見るのが嫌になった。
職場の結婚している上司、同僚、それぞれ仲良くしている後輩達、道行く夫婦、全てだ。
他人の笑顔を見ると私の顔が歪むのがすぐ分かる。
失った物がいかに大きく、尊い物だったかを再認識した。
自分の周りの全てに思い出が残っていて、何度見ても消えない。別れを告げられて2ヶ月が経つが、やはりまだ応えている。部屋から出なければ、私の目は何も見なくて済む。
単純な呪いより質が悪いのは、私を苦しめているのが悪ですらないその大切な思い出だと言うことだ。
私の憤りには、行き場がない。
あるとすれば、彼女への思いの寄せ方を何も考えなかった在り方にだろうか。
あるいは、自堕落さの抜けなかった自分の弱さか。
これは私の持論だが、人間を最も傷つける行動とは、与えた物を奪う事だ。
彼女は自分を引っ張り上げてくれる人を、
私は自分と共に沼に沈んでくれる人を、
お互いに求めてしまった。
それが私の敗着であり、私の今後の人生に幸福は訪れない。
彼女との旅行用の費用を、別途プールしていた。
私は稼ぎがいい方ではなかったが、自分の為に少し使いながらもちょっとだけ用意していた。
京都の旅館に行きたいと言っていた。
思い出すとまた長い夜になるので委細は省くが、
本当に心から楽しみにしていた。
サプライズを明かす前に、散ってしまったが。
その軍資金で、家族が増えた。
レオパードゲッコー。
俗にレオパで通っているが、ヒョウモントカゲモドキとも呼ばれており、こちらの方が親しみ易いのかもしれない。
ヤモリの一種で、名前の通りでヤモリに無い特徴を幾つか持っている。膨らんだしっぽや笑っているように見える顔、そして爬虫類の中でも入門種と呼ばれる程の飼いやすさで人気の高いエキゾチックアニマルだ。
孤独を埋める為か、私は購入を決意した。
前準備は大変だった。
己にペットを飼う事ができるのか不安もあった。
何より、フラれたから飼う、なんて不純な動機だと私は思わないでもなかった。
私はそれでも、飼う事とした。
人は裏切るが、であれば寂しさを紛らわす事は人で無いものでしか叶わない。
赤子の、マックスノーという柄。
飼う前に名前はもう決めていた。
『レイ』
遂には果たす事の出来なかった願いであり、
私の寄る辺となる彼/彼女に相応しい名前だ。
まだ成長過程らしく、雌雄は不明。
レオパの寿命は、その体にしては10年以上と、
実に長い。
世を嫌い、自室に篭もる私の良き友人として、
彼/彼女の成長を見守るとした。
前の投稿から長らく放置していたが、このツールを日記として活用してみようと思う。
不定期的に、レイがどう成長するのか私のアルバムとしてみたいと思ったのだ。
レイが力尽きる頃には、私もいい歳になっているだろう。
その時が来るまでは、大嫌いなこの世界で、彼/彼女と共に生きていくとしよう。